よく聞く統計的検定の前段階の考え方で帰無仮説というものがあります。例を挙げて説明しますね。
帰無仮説(きむかせつ)とは?
帰無仮説(きむかせつ)とは、統計学において、ある事象について「何も特別なことが起こっていない」と仮定する考え方です。これは、新しいデータが本当に特別なことを示しているかどうかを判断するための基準となります。
具体例:サルのバナナ実験
例えば、あなたがサルの飼育係で、新しいバナナがサルの健康に良いかどうか調べたいとします。この場合の仮説は次のようになります:
- 帰無仮説:「新しいバナナは、今までのバナナと変わらず、サルの健康に特に影響はない。」
- 対立仮説:「新しいバナナは、サルの健康に良い影響を与える。」
実際の手順
- データ収集:新しいバナナを与えたサルの健康状態を記録します。
- 統計的検定:収集したデータを分析し、健康状態に明らかな変化があるかを検定します。
- 結果判断:
- 帰無仮説が正しい場合:新しいバナナを与えても、サルの健康状態に特に変化は見られません。
- 帰無仮説が誤りの場合:新しいバナナを与えたサルの健康状態が良くなります(対立仮説が支持されます)。
重要なポイント
- 帰無仮説を否定する(棄却する)ためには、十分な証拠が必要です。 統計的に有意な差が見つかると、「新しいバナナは良い影響を与える」という対立仮説が支持されます。
- 帰無仮説が棄却されない場合、それは「新しいバナナが悪い」ことを意味するのではなく、「新しいバナナが今までのバナナと変わらない」ことを意味します。
まとめ
帰無仮説は、「何も特別なことが起こっていない」と仮定して、それが本当にそうかどうかをデータを使って調べるための基準です。これにより、新しい現象や介入が実際に効果を持つかどうかを統計的に検証することができます。